キッティングとは?仕事内容を図解でわかりやすく解説【未経験向け】
求人でよく見る「キッティング」。カタカナで身構えるけど、やることはめちゃくちゃシンプルで具体的です。
ひとことで言えば、「箱から出したばかりの新品パソコンを、すぐ使える状態に仕上げる仕事」。
この記事では、段ボールが届いてから納品するまでの流れを図解で、実際の1日のスケジュールと合わせてお見せします。読み終わる頃には、作業している自分の手元が想像できるはずです。
キッティングを一言で言うと
キッティング(kitting)は、もともと「部品を1セットに組む」という意味の言葉。ITの現場では、バラバラの状態のPCを「実務で使える1台」に組み上げる作業を指します。
Before
📦 箱に入った新品PC
電源を入れても、まだ会社では使えない状態
After
💻 すぐ仕事で使えるPC
設定・ソフト導入済みで、社員に渡せる状態
イメージしてください。ある会社が社員100人分のPCを入れ替える。新品が100台どーんと届く。でも箱から出しただけじゃ使えない。この「使える状態にする」作業を、あなたが担当します。
作業の全体フロー(6ステップ)
1台のPCが、こんな流れで仕上がっていきます。
開梱・接続
段ボールから取り出し、モニター・キーボード・マウス・LANケーブルをつなぐ。地味に体を使う工程
OSの初期設定
電源を入れてWindowsの初期セットアップ。言語・アカウント・時刻などを手順書通りに設定
ネットワーク設定
会社のネットに繋がるよう、IPアドレスなどを設定。ここでネットワークの基礎に触れる
ソフトのインストール
ウイルス対策ソフト・メール・業務アプリを、決められた通りに導入
資産管理シール貼り
「この1台は誰の・どの管理番号か」がわかるシールを貼る。台帳とも紐づける
動作確認・納品
ネットに繋がるか、ソフトが起動するかを最終チェック。問題なければ完成・納品
難しい判断はほぼありません。手順書に「ここをこう入力」と書いてある通りに進める。だから未経験でも初日から戦力になれる仕事なんです。
やり方は大きく2種類
台数や現場によって、進め方が変わります。
| 方式 | やり方 | スピード | 向いてる場面 |
|---|---|---|---|
| 手作業型 (1台ずつ) | 1台ずつ手順書通りに設定していく | ゆっくり (1日5〜10台) | 台数が少ない/設定が1台ごとに違う |
| 一括展開型 (マスタイメージ) | 見本の1台を作り、その中身を全台にコピー | 速い (数人で数十台) | 同じ設定のPCを大量に用意する |
大量案件では、数人のチームで「開梱担当」「設定担当」「確認担当」と分担する流れ作業になることも。文化祭の準備みたいに、みんなで手を動かす空気の現場もあります。
現場で使うツールと専門用語
キッティングは手作業だけじゃありません。台数が増えるほど、こういう技術で「自動化」していきます。求人票に並ぶカタカナ用語も、意味がわかればこわくない。全部を最初から覚える必要はなく、現場で1つずつ「これがあれか」と繋がっていきます。
| 用語 | やさしく言うと | 現場での役割 |
|---|---|---|
| Sysprep (シスプレップ) | PCの固有情報をリセットする作業 | 見本PCを複製できる状態にする。SID(PC1台ずつの識別番号)の重複を防ぐ |
| マスタイメージ/ クローニング | 見本PCの中身をまるごとコピー | Clonezilla・Acronis等で、1台の中身を全台に複製 |
| DISM | Windows標準のイメージ操作ツール | OSイメージにドライバやソフトを組み込んでおく |
| PXEブート/ WDS | LAN経由でOSを配る仕組み | USBを挿さず、ネットワークから一斉にOSを展開する |
| MDT | 展開作業を自動化する仕組み | 設定を台本化し、手作業のミス(ヒューマンエラー)を減らす |
| Active Directory ドメイン参加 | 会社のユーザー管理網にPCを登録 | 社員が自分のIDでどのPCにもログインできるようにする |
| グループポリシー (GPO) | 全PC共通のルールを配布 | パスワード条件・壁紙・操作制限などを一括で適用 |
| Autopilot/ Intune(MDM) | クラウドから設定を流し込む | 箱を開けてネットに繋ぐだけの「ゼロタッチ」キッティング |
| BitLocker | ディスク全体の暗号化 | PCの紛失・盗難時に、中身を読めなくして情報漏洩を防ぐ |
| BIOS/UEFI | PCの一番土台の設定画面 | 起動順序やセキュアブートなど、OSより下の設定を行う |
| DHCP/固定IP | IPアドレス(PCの住所)の配り方 | 自動で配る(DHCP)か、手で1台ずつ決める(固定IP)か |
手作業から「自動化する側」へ
正直に言うと、キッティングの世界も自動化がどんどん進んでいます。昔は1台ずつ手で設定していた作業が、いまはAutopilotやMDTで「箱を開けてネットに繋ぐだけ」に近づいている。
ここで差がつくのが、自動化の仕組みを「回す側」「作る側」に回れるかです。たとえばPowerShell(Windowsを自動操作する簡単なプログラム)で設定作業を台本化できると、100台を1人でさばけるようになる。単純作業を「こなす人」から、単純作業を「消す人」へ。ここで市場価値がガラッと変わります。
未経験のうちは手作業でOK。でも「この繰り返し、自動化できないかな?」と考えるクセがついた人は、確実に評価されて次のステージに上がっていきます。
キッティングの1日(イメージ)
| 時間 | やること |
|---|---|
| 9:00 | 朝礼・今日の担当台数と役割分担を確認 |
| 9:30 | 開梱・接続。段ボールを開けてPCを並べる |
| 10:30 | OS設定・ネットワーク設定を順番に進める |
| 12:00 | 昼休み |
| 13:00 | ソフトのインストール・シール貼り |
| 16:00 | 動作確認。1台ずつチェックリストで確認 |
| 17:30 | 今日の完了台数を報告・記録して退勤 |
短期プロジェクトが多いので、残業は少なめ・定時退勤しやすいのも特徴です。
「自分に手を動かす作業が向いてるか、話しながら整理したい」——そんな相談も歓迎です。この記事の最後に、LINEで気軽に聞ける窓口があります。
身につくスキルと、次のキャリア
「ただPCを設定するだけでしょ?」と侮るなかれ。キッティングでは、PCの中身をまるごと触ります。
キッティングで身につくもの
- ✅ OS(Windows)の基本操作と設定
- ✅ IPアドレスなどネットワークの初歩
- ✅ ソフトの導入・トラブル時の切り分け
- ✅ 手順書を正確に読み、その通りに進める力
参考書で「IPアドレス」と読んでもピンとこなかったものが、100台設定するうちに「あ、これのことか」と手で分かる。この基礎が、次のステップ(運用保守・構築)の土台になります。
→ 次に進む仕事はこちら:運用保守とは?仕事内容を図解で解説
正直きついところ/向いてる人
| きついところ | 向いてる人 |
|---|---|
| ・同じ作業の繰り返しになりがち ・立ち仕事・重いPC運びで体力を使う ・短期案件だと現場が転々とする | ・黙々と手を動かすのが好き ・決められた手順を正確にこなせる ・細かい確認が苦にならない |
「派手さはないけど、モノが目に見えて仕上がっていくのが気持ちいい」——キッティング経験者からよく聞く感想です。1台終わるごとの達成感が積み上がる仕事です。
よくある質問
未経験でもできますか?
できます。手順書に沿った作業が中心で、初日から手を動かせます。PCの中身を一通り触るので、未経験者がIT機器に慣れる最初のステップとして最適です。
1日に何台くらい作業しますか?
方式によります。手作業型なら1人で1日5〜10台ほど、一括展開型なら数人のチームで数十台をさばくこともあります。
ずっと同じ作業で飽きませんか?
単純作業の側面はあります。ただOS・ネットワーク・ソフトを毎日触ることで、パソコンの構造が体に染み込む。この基礎が次のキャリアの土台になります。
どんな場所で働きますか?
企業のオフィスの一室や、PCが並ぶ作業スペースが多いです。PC入れ替えや新入社員向けの一斉導入など、短期プロジェクトで特定の現場に入るケースがよくあります。
次はどんな仕事に進めますか?
機器の扱いとネットワークの基礎を掴んだ人は、運用保守やヘルプデスクを経て、システムを作る構築の仕事へ進みます。
Sysprepやマスタイメージとは何ですか?
マスタイメージは「見本の1台を丸ごとコピーして全台に複製する」方式です。Sysprepは複製前にPCの固有情報をリセットする作業で、SID(識別番号)の重複を防ぎます。大量キッティングを効率化する定番技術です。
PowerShellやスクリプトのスキルは必要ですか?
未経験のうちは手作業で問題ありません。ただしPowerShellで設定作業を台本化できると、大量の端末を効率よくさばけて市場価値が上がります。「この繰り返しは自動化できないか」と考える人が次のステージに進みます。
まとめ
キッティングは「新品PCを、すぐ使える状態に仕上げる仕事」。開梱→設定→ソフト導入→確認→納品という、目に見える流れがある。手順書があるから、未経験でも初日から手を動かせます。
派手じゃないけど、ここで身につくPCとネットワークの基礎が、その先のキャリアを支える。まずは1台、確実に仕上げるところから始まります。
→ 未経験の入口3職種の全体像:キッティング・ヘルプデスク・運用保守とは?
→ インフラエンジニアの全体像:未経験からインフラエンジニアになるには?完全ロードマップ
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村上悠司(むらかみ ゆうじ)
株式会社キャリアハブ 代表取締役。外資系IT企業でのセールス経験約10年を経て、未経験エンジニアの育成に特化したSES企業を設立。