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SES業界のリアル

SESから自社開発に転職するタイミング|成功する人の共通点


「SESは踏み台」——ネットにはそう書いてある。

正直、否定はしない。SESで経験を積んで自社開発に転職するのは、立派なキャリア戦略だ。実際、うちを卒業して自社開発に行った人もいる。

ただし。タイミングを間違えると、転職先で「使えない人」になる。この記事では、SES企業を経営する立場から「いつ動くべきか」「どんな人が成功するか」を全部話す。

そもそも「自社開発」って何が違うの?

SESはクライアント先に常駐して仕事をする。自社開発は、自分の会社のプロダクト(サービスや製品)を作る。ここが根本的に違う。

SESでは半年〜1年で現場が変わることが多い。新しい技術や環境に触れられる反面、「このサービスを育てた」という実感は得にくい。

自社開発は逆だ。1つのプロダクトに長く関わる。設計から運用まで一気通貫で見られる。だから「自分が作ったものが世の中で使われている」感覚がある。

ただし、自社開発にもデメリットはある。技術スタックが固定されがちで、その会社でしか通用しないスキルに偏るリスクがある。万能じゃない。

転職していいタイミング、3つの条件

「SESを辞めたい」と思った瞬間が転職のタイミング——ではない。感情で動くと失敗する。最低限、以下の3つをクリアしてるか確認してほしい。

条件① 構築経験が2年以上ある

運用・監視だけで転職すると、自社開発の現場で何もできない。構築(サーバーやネットワークをゼロから作る仕事)を最低2年はやっていること。これが土台になる。

構築2年の目安は、年収350〜450万円のレンジ。この水準に届いていないなら、まだ早い。

条件② 設計フェーズに1回は関わったことがある

自社開発では「言われたことをやる」だけでは評価されない。「なぜこの構成にするのか」を考える力が必要だ。設計(システムの全体像を決める工程)に関わった経験が1回でもあれば、面接で話せるエピソードになる。

条件③ 「なぜ自社開発に行きたいか」を30秒で言える

「SESが嫌だから」は理由にならない。面接官は「なぜうちの会社か」を聞いている。「自分が設計したインフラを長期的に運用改善したい」「ユーザーの反応を直接見たい」——こういう具体的な動機がないと、書類で落ちる。

逆に言えば、この3つが揃っていれば勝負できる。SESで鍛えた「現場対応力」は、自社開発でもかなりの武器だ。

SES面接で「何を聞けばいいかわからない」という人は多い。転職前に面接力を磨いておくと、自社開発の選考でも差がつく。SES企業の面接で確認すべき5つの質問も参考にしてほしい。

早すぎる転職が危険な理由

入社1年目、運用・監視の仕事がつまらなくて「もう自社開発に行きたい」と思う気持ちはわかる。年収300〜350万円の時期は、正直キツい。

でも、このタイミングで動くと高確率で詰む。理由は2つ。

1つ目。スキルが足りない。自社開発は即戦力を求める。「監視ツールでアラート対応してました」だけでは書類が通らない。構築・設計の経験がないと、採用する側にメリットがない。

2つ目。転職できても苦しむ。仮にポテンシャル採用で入れたとしても、周りは経験者ばかり。「あの人、何もできないね」と思われながら働く日々は想像以上にしんどい。結局また転職——これが最悪のパターンだ。

焦る気持ちはわかる。でも、SESの1〜2年目は「武器を仕込む時間」だと割り切ってほしい。

自社開発への転職に成功する人の共通点3つ

これまでSESから自社開発に転職していった人を何人も見てきた。成功した人には、はっきりした共通点がある。

① SESで「幅広い現場」を経験している

SESの強みは、短期間で複数の現場を経験できること。サーバー構築、ネットワーク設計、クラウド移行——この幅が自社開発で活きる。「うちのインフラ、全部任せられそう」と思わせたら勝ちだ。

② 資格を複数持っている

CCNA、LPIC、AWS認定——資格は「勉強する習慣がある人」の証明になる。自社開発の面接官は技術力だけじゃなく、成長意欲を見ている。資格が3つあれば、それだけで「この人は伸びる」と判断される。

→ 資格取得のロードマップが知りたい人はインフラエンジニアのキャリアパス完全ガイドを読んでみてほしい。

③ 「逃げ」じゃなく「攻め」の転職理由がある

「SESが嫌だから」で転職する人と、「自分のプロダクトを持ちたいから」で転職する人。面接官は一瞬で見抜く。

成功する人は、SESでの経験を否定しない。「SESで色んな現場を見たからこそ、次は1つのサービスに深く関わりたい」——この文脈が作れる人は強い。

SESに残るのも、実は正解だったりする

ここまで自社開発への転職を語ってきたけど、あえて言う。SESに残り続けるのも立派な選択だ。

SESでPM(プロジェクトマネージャー)まで上がれば、年収800万円も現実的な数字。設計フェーズ(年収450〜600万円)を経て、マネジメント側に回るルートは安定感がある。

しかも、SESのPMは複数現場を経験してるから視野が広い。自社開発しか知らない人には出せない価値がある。「SES=ダメ」なんてことは、絶対にない。

大事なのは「どっちが上か」じゃなく、「自分はどうなりたいか」。そこがブレなければ、どっちの道を選んでも後悔しない。

CareerHubの本音——「卒業」は応援する

うちの会社から自社開発に転職したいと言われたら、止めない。応援する。

ただ、1つだけお願いがある。最低3年は力をつけてから動いてほしい。運用1年、構築2年。ここまでやれば、年収450万円前後のスキルが身につく。そのレベルなら、自社開発の面接でも自信を持って戦える。

焦って1年で辞めても、市場で評価されるスキルが足りない。結局「経歴だけ増えてスキルがない人」になってしまう。それは、あなたにとって一番もったいない。

SESは通過点でもいい。でも、通過するなら全力で走り抜けてほしい。その経験が、次のステージで必ず武器になるから。

→ SESの仕組みや業界の全体像を知りたい人はSESって何?「やめとけ」って本当?から読むのがおすすめ。


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村上悠司

村上悠司(むらかみ ゆうじ)

株式会社キャリアハブ 代表取締役。外資系IT企業でのセールス経験約10年を経て、未経験エンジニアの育成・派遣に特化したSES企業を設立。

「ちょっと話を聞いてみたい」——それだけで大丈夫です。

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