ファイアウォール・VPNとは?図解でわかりやすく解説
カフェのフリーWi-Fiにつないだとき、スマホに「VPNアプリを使いましょう」という広告が出てきたことはありませんか?
そのVPNと、もうひとつよく並んで出てくるのが「ファイアウォール」。どちらも、会社では社員の在宅勤務や社内のデータを守るために欠かせない仕組みです。IT業界の求人やエンジニアの経歴書でも頻出で、CCNAの試験範囲とも深く関わっています。
この記事では、ファイアウォールを「門番」、VPNを「中が見えない専用トンネル」にたとえて、2枚の図で整理します。なお、暗号化したトンネルを通すところは、個人向けのVPNアプリも会社のVPNも同じです。違うのはつなぐ先。個人向けアプリはVPN業者のサーバーに、会社のVPNは社内のネットワークにつながります。この記事で扱うのは、後者の会社のVPNです。
ファイアウォールとは?
ファイアウォールは、会社のネットワークの出入り口に立つ門番です。やってくる通信を一つずつチェックして、「通っていい」「ダメ」を仕分けます。
門番が見ているのは、「どこから来て、どこへ行く、何の通信か」。たとえば「社内からWebサイトを見る通信はOK」「外から社内のサーバーに直接入ってくる通信はNG」。こういうルールを並べた表を、上から順に照らし合わせていきます。
最近のファイアウォール機器は、通信の中身や使っているアプリまで見て判断できるものも増えています。こうした高機能なものは「次世代ファイアウォール(NGFW)」と呼ばれます。
VPNとは?
VPN(Virtual Private Network/仮想プライベートネットワーク)は、インターネットという公道の中に通した、外から中が見えない専用トンネルです。
インターネットは、誰でも通れる公道のようなもの。そこを会社の大事なデータがむき出しで走るのは危険です。VPNは同じ公道を使いながら、通信を暗号化して包み込みます。道は同じでも、トンネルの中は外から見えません。
リモートアクセスVPNと拠点間VPN
VPNには大きく2つの使い方があります。CCNAの新しい出題範囲(v2.0)でも、この2種類を説明できることが求められています。
| 種類 | 何と何をつなぐ? | よくある場面 |
|---|---|---|
| リモートアクセスVPN | 社員1人のPC ⇔ 会社 | 在宅勤務、出張先からの接続 |
| 拠点間(サイト間)VPN | 場所 ⇔ 場所(本社と支店など) | 支店から本社のサーバーを常時使う |
リモートアクセスVPNは、使うときに自分でつなぐタイプ。たとえば朝イチ、在宅勤務の社員から「VPNにつながらない」と連絡が来る。最初に確認するのは、家のネットがつながっているか、VPNのパスワードの期限が切れていないか。こうした問い合わせへの対応も、現場の大事な仕事です。拠点間VPNは、ルーターやファイアウォールどうしが24時間つなぎっぱなしにするタイプです。こちらは利用者が意識しないので、社員は「VPNを使っている」と気づいていないことも多いです。
ファイアウォールとVPNの違い
| ファイアウォール | VPN | |
|---|---|---|
| たとえ | 門番 | 中が見えない専用トンネル |
| 役割 | 通していい通信を仕分ける | 外から安全に入る道をつくる |
| 守るもの | 出入り口 | 通信の中身 |
役割は別物ですが、現場では1台のファイアウォール機器がVPNの入口も兼ねていることがよくあります。門番の詰所に、専用トンネルの出入口がある。そんなイメージです。だから求人や経歴書では「FW/VPN構築」のようにセットで書かれがちです。
門番のルール表を書く側に回ってみたい。そう感じたら、話を聞くだけでも大丈夫です。
LINEで仕事のことを聞いてみる →なぜ攻撃者に狙われやすいのか
ここからは少し怖い話です。ファイアウォールやVPNの機器は、攻撃者にとって一番おいしい標的のひとつです。
理由はシンプル。インターネットと社内の境目に置かれていて、外から必ず届く場所にあるからです。門番そのものに穴があれば、門番ごと乗っ取られて、社内へ素通りされてしまいます。
こうした「境目の機器」を狙った攻撃は、毎年のように報じられています。2026年10月中旬の週間セキュリティニュースのランキングでは、1位がファイアウォール製品の脆弱性、4位がVPN製品の脆弱性の記事でした。守りの要だからこそ、穴が見つかったら真っ先にふさぐ。インフラエンジニアの出番です。
→ 脆弱性の基礎:脆弱性・CVE・CVSSとは?図解でわかりやすく解説
CCNAとの関係・インフラエンジニアの仕事
CCNAで学ぶACL(アクセスコントロールリスト)は、「この通信は通す・通さない」をルーターに設定する仕組み。つまり、ファイアウォールの考え方の基本そのものです。キャリアハブの研修でも、全6回の勉強会の5回目でACLを扱います。ここまで来ると、「門番のルール表」が自分で書けるようになります。
現場でのファイアウォール・VPNまわりの仕事は、経験に応じてこんなふうに広がっていきます。
| 段階 | 主な仕事 |
|---|---|
| 運用・監視 | 機器の状態監視、ログ(機器の動作記録)の確認、「VPNにつながらない」問い合わせへの最初の対応(一次対応) |
| 運用保守 | ルールの追加・変更作業、脆弱性対応のアップデート |
| 構築 | 新しい拠点のVPN設定、ファイアウォールの導入・入れ替え |
| 設計 | どんなルールで、どこに門番を置くかを決める |
→ CCNAの全体像:CCNAとは?未経験者が知っておくべき全知識
→ 2027年のCCNA改定:CCNA v2.0で2027年2月に改定|今の試験で取るべき?待つべき?
よくある質問
ファイアウォールとは何ですか?
ファイアウォールは、ネットワークの出入り口に立って、通してよい通信と止めるべき通信を仕分ける「門番」の仕組みです。あらかじめ決めたルールに沿って、外からの怪しい通信をブロックし、会社のネットワークを守ります。
VPNとは何ですか?
VPN(仮想プライベートネットワーク)は、インターネットの中に、暗号化された専用の通り道をつくる仕組みです。自宅や出張先から、会社のネットワークに安全につなぐときに使います。離れた拠点どうしをつなぐのにも使われます。
ファイアウォールとVPNの違いは何ですか?
ファイアウォールは「誰を通すか」を決める門番、VPNは「外から安全に入る通り道」です。役割は違いますが、実際の現場ではファイアウォール機器がVPNの機能も持っていることが多く、セットで扱われます。
リモートアクセスVPNと拠点間VPNの違いは?
リモートアクセスVPNは、社員一人ひとりのパソコンから会社につなぐタイプで、在宅勤務でよく使われます。拠点間VPNは、本社と支店のように場所と場所を常時つなぐタイプです。CCNAの新しい出題範囲(v2.0)でも、この2種類の説明が出題項目に入っています。
ファイアウォールやVPNの機器はなぜ狙われやすいのですか?
インターネットと社内の境目に置かれ、外から必ず届く場所にあるからです。ここを突破されると社内ネットワークに入り込まれるため、攻撃者にとって価値が高い標的になります。そのため、脆弱性が見つかったときは素早い修正版の適用が求められます。
ファイアウォールとACLの違いは何ですか?
ACL(アクセスコントロールリスト)は、ルーターやスイッチで「この通信は通す・通さない」を決める仕組みです。ファイアウォールのいちばん基本的な考え方と同じです。専用のファイアウォール機器は、通信のやりとりの流れまで見て判断するなど、より細かいチェックができます。
まとめ
ファイアウォールは通信を仕分ける門番、VPNは公道の中に通す、中が見えない専用トンネル。役割は違っても、どちらも「会社のネットワークの境目」を守る仕組みで、現場ではセットで扱われます。
境目にあるからこそ、狙われる。だからこそ、守れる人の価値が高い。その入口にあるのが、CCNAで学ぶACLです。
今日できることをひとつ。自宅にWi-Fiルーターがあれば、本体の底や側面のラベルを見てください。管理画面のアドレスとログイン情報が書かれていることが多いです。スマホからその管理画面を開くと、「ファイアウォール」の項目が見つかります。機種によっては「VPN」の項目もあります(見るだけにして、設定は変えないでください)。自分の家にも門番がいる。5分で、それが実感できます。
→ インフラエンジニアの全体像:未経験からインフラエンジニアになるには?完全ロードマップ
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村上悠司(むらかみ ゆうじ)
株式会社キャリアハブ 代表取締役。外資系IT企業でのセールス経験約10年を経て、未経験エンジニアの育成に特化したSES企業を設立。