セキュリティエンジニアに未経験からなるには?インフラ経由の道筋
PHPの脆弱性で首相がXに投稿し、Microsoftの月例更新では脆弱性の修正が1,400件超。2026年10月は、セキュリティのニュースが一気に身近になった1ヶ月でした。
「守る側の仕事、ちょっとカッコいいかも」。そう思って「セキュリティエンジニア 未経験」で調べた人も多いはずです。
先に結論を言います。未経験からなら、インフラエンジニアを経由するのが一番の近道です。求人の必須条件を、上る順番どおりに満たしていけるからです。詳しい理由と具体的な階段を、図解で説明します。
セキュリティエンジニアの仕事は4種類
ひとくちに「セキュリティエンジニア」と言っても、中身はけっこう違います。守りの流れで並べると、こうなります。
この中で、インフラの仕事にいちばん近いのがSOC(ソック)です。会社のネットワークやサーバーを24時間見張って、怪しい動きを見つけたら知らせる仕事。インフラの「監視」の経験が、そのまま活きます。
なぜ未経験から直接は難しいのか
セキュリティエンジニアの求人を見ると、「ネットワークやサーバーの実務経験○年以上」を条件にしているものが多いのが実情です。
理由はシンプルで、守る対象を知らないと守れないから。攻撃はネットワークを通って、サーバーに届きます。「普段の通信はこう流れている」を知らない人に、「今の通信はおかしい」は判断できません。
なので、セキュリティの勉強だけを先に頑張っても、求人の入口で止まってしまいがち。求人票の「必須条件」に「インフラ経験2年以上」と書かれていて、応募ボタンを押せない。そんな場面です。
インフラ経由が近道な3つの理由
未経験でも入口がある
インフラの運用・監視は、未経験から入れる求人が比較的多い分野です。まず現場に入れる。これが何より大きい。
毎日の仕事が、そのまま守りの経験になる
パッチ適用、ファイアウォールのルール変更、アカウント管理、ログ確認。インフラの日常業務の多くは、セキュリティの守りそのものです。
「普段の姿」を知っている人が、一番早く異常に気づく
監視で毎日システムを見ていると、正常な状態が体に染みつきます。これがSOCやインシデント対応で一番効く武器になります。
2026年10月のPHP2Shellのときも、レンタルサーバー各社は夜から翌朝にかけて修正版の適用を進めました。サーバーのPHPを入れ替えるのは、まさにインフラの作業です。セキュリティ事件の最前線には、インフラの人がいる。それが現場のリアルです。
→ その夜に何が起きたか:PHP2Shellとは?PHPの重大脆弱性を図解でわかりやすく解説
「セキュリティに行きたいけど、最初の一歩がわからない」。インフラの入口づくりなら、一緒に考えられます。
LINEで最初の一歩を相談する →未経験からのキャリアの階段
インフラ経由でセキュリティに進む道を、4段の階段にするとこうなります。年数は一般的な目安です。
STEP 1〜2の年収の目安は、運用・監視で300〜350万円、構築で350〜450万円ほど(会社や手当によって変わります)。ここで大事なのは、STEP 2で「セキュリティ寄りの作業」を自分から取りにいくことです。パッチ適用の担当に手を挙げる、ファイアウォールの変更作業に入れてもらう。こうした経験が、STEP 3への切符になります。
→ 年収の詳しい推移:インフラエンジニアの年収リアル|未経験1年目から5年目まで正直に公開
→ インフラのキャリア全体:未経験からどこまで行ける? インフラエンジニアのキャリアパスを全部見せます
段階ごとに取りたい資格
資格は「今いる段階で、次の段階の切符になるもの」を選ぶのがコツです。
| 段階 | 資格 | ひとこと |
|---|---|---|
| STEP 0〜1 | CCNA | ネットワークの基礎の証明。すべての土台 |
| STEP 1〜2 | LPIC/LinuC | Linux(サーバーで定番のOS)の資格。攻撃される側を知る |
| STEP 2 | 情報セキュリティマネジメント試験 | IPAの国家試験。セキュリティの基本ルールを体系的に |
| STEP 2〜3 | CompTIA Security+ | 国際資格。外資系や大手のSOCで評価されやすい |
| STEP 3〜4 | 情報処理安全確保支援士 | セキュリティの国家資格。難関だが看板になる |
キャリアハブの研修でも、CCNAの勉強会は全6回のうち5回目でACL(通していい通信・ダメな通信のルール)を扱います。これが、ファイアウォールの考え方の土台です。
いきなり上の資格を目指す必要はありません。むしろ、CCNAで足元を固めてから現場に入るほうが、結果的に早くセキュリティにたどり着きます。CCNAの新しい出題範囲(2027年2月〜予定)でも、管理者のログインを認証・記録する仕組み(AAA)やVPN、スイッチでの不正接続対策など、守りの項目がしっかり入っています。
→ CCNA v2.0で2027年2月に改定|今の試験で取るべき?待つべき?
→ CCNA取ったら次は?インフラエンジニアの資格ロードマップ完全版
よくある質問
未経験からいきなりセキュリティエンジニアになれますか?
不可能ではありませんが、ハードルは高めです。セキュリティの求人は、ネットワークやサーバーの実務経験を条件にしているものが多いのが実情です。未経験なら、まずインフラエンジニアとして現場に入り、守りに関わる作業の経験を積んでから進むのが現実的な近道です。
セキュリティエンジニアにはどんな仕事がありますか?
代表的なのは4つです。攻撃の兆しを24時間見張るSOC(セキュリティ監視)。事故が起きたときに対応するCSIRT(インシデント対応)。システムの穴を探す脆弱性診断。安全な仕組みを考えるセキュリティ設計。どれもネットワークとサーバーの知識が土台になります。
なぜインフラの経験がセキュリティで役立つのですか?
攻撃はネットワークを通って、サーバーや機器に届くからです。通信の仕組みやログの読み方、普段の正常な状態を知っている人ほど、異常に早く気づけます。ファイアウォールの設定やパッチ適用など、インフラの日常業務の多くがそのままセキュリティの守りにつながっています。
セキュリティエンジニアを目指すなら、どの資格から取るべきですか?
最初は、ネットワークの基礎を証明できるCCNAがおすすめです。次に、IPAの情報セキュリティマネジメント試験や、国際資格のCompTIA Security+でセキュリティの基礎を固めます。経験を積んだら、国家資格の情報処理安全確保支援士を目指すのが王道の順番です。
SOCとは何ですか?
SOC(ソック、Security Operation Center)は、会社のネットワークやサーバーを24時間見張り、攻撃の兆しを見つけて知らせるチームや拠点のことです。監視の経験がそのまま活きるため、インフラの運用・監視からセキュリティに進むときの入口になりやすい仕事です。
文系・プログラミング未経験でもセキュリティの道に進めますか?
進めます。セキュリティの仕事の多くは、プログラムを書くことより、仕組みを理解して異常に気づき、手順に沿って対応することが中心です。まずはCCNAとインフラの現場経験から積み上げれば十分です。
まとめ
セキュリティエンジニアは、守る対象(ネットワークとサーバー)を知っている人の仕事です。だから未経験なら、インフラで現場に入り、守りの作業を積み重ねてから進むのが一番の近道になります。
CCNA → 運用・監視 → 運用保守 → SOC。階段は長く見えますが、一段目は今日から上れます。
今日できることをひとつ。求人サイトで「SOC」と検索して、求人を3件開いてみてください。見るのは「必須条件」と「歓迎条件」の欄です。「インフラ経験」「ネットワーク」「CCNA」の文字が何件あるか、数えてみる。5分で、この記事の話を自分の目で確かめられます。
→ CCNAとは?未経験者が知っておくべき全知識|難易度・費用・勉強法まで
参考にした情報
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村上悠司(むらかみ ゆうじ)
株式会社キャリアハブ 代表取締役。外資系IT企業でのセールス経験約10年を経て、未経験エンジニアの育成に特化したSES企業を設立。